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「でも、もし幕末に行けたら、私のこの剣術と知識で…無理か。」
剣術と、幕末に関する知識だけは自信がある私は、
本をパタリと閉じ、刀を手に取った。
この刀は私の家に代々受け継がれていたと言われる宝刀。
藍色の艶やかな鞘に、白い柄。
鞘には雪のような、儚い桜が散っている姿が描かれていた。
有名な鍛治職人が打った、業物らしい。
ま、幕末以外の知識が皆無の私には分からないけど。
そんな刀をスラリと抜けば、その雪のように白い刀身が姿を表した。
「ねぇ、雪。幕末の志士たちは幸せな人生を送れたのかな?」
勝手に"雪"と名付けている刀はいつ見ても綺麗だけど、
いつも欲しい答えはくれない。
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