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私の家は元々武家の家系だったらしいけど…
詳しいことは両親どころか親族すらいない今では永久の謎になってしまった。
この刀は、両親の唯一の形見。
夜桜一刀流の当主のみが持つことを許された刀。
その二つの事しかこの刀については知らない。
「はぁー…」
今日何度目かも分からないため息を溢し、雪を空に掲げる。
「ねぇ、雪。
私を、幕末に連れて行って。
そしたら私、頑張るからさ。
長州の人たちも、奇兵隊の人たちも、新選組の人たちも、
みんなみんな幸せにしてみせるからさ。
たから、お願い…」
もう、疲れたよ。此処での生活は。
ただただ、雪を見つめる。
もちろん。いつも通り、返事なんて返ってくるはずも
【その言葉、誠だな。】
って、えぇぇぇぇぇぇっ?!
ナニコレ?!
頭に直接響く声が聞こえる。
ってそんなバナナ!!
此処私以外に誰も居ないし
【…とりあえず一回黙れ。】
そんな呆れた声と共に、私の意識は遠くに飛んで行った…
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