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「うん、やっぱり白だね、よく似合うよ」
「そ、そう……かな」
「そんなわけで、今日から私は君の養育者になるわけだけど。……まあ、その。君に赤斑が出て、喪失の病を抱えた以上、君に何もしないわけにはいかない。でも養育中なわけだから、子供なんだよね、君は」
「えっ……と?」
遠回しに言ったために、わかりづらかったらしい。
「どこまでなら大丈夫?」
「どこ?」
ん? と首をかしげる。
「まあ……今さらだけど」
ティオの頬に触れる。その指先で、唇をなぞった。
「キスはいい?」
「えっ……、し、したことないから……わからない……よ。でも……いやって思ったら……やめて」
「……わかった」
なにも知らない初恋のように、そっと触れて、離す。
ティオのほうから、しがみついてきた。
「イグノトルさま……」
「嫌だった?」
ううん、と首をふる。
「ぼく……昨日より……ひどくて、どうしよう……」
あれだけはっきりと赤斑を現しているなら、無理もない。
「我慢できる?」
しかも、他人の手でしてもらう心地よさを知ったあとでの抑制は、まだ若すぎるティオには苦行でしかないだろう。
「だめ……」
泣き出しそうに、震えている。
「……しようね」
「ん……」
本来は子供であるティオに手をつけるなど、犯罪以外の何物でもない。
「あ……っ」
それでも法律上は大人で、合意があれば構わないなら、もうそれは自分たちで自戒を決めていくしかないのだろう。
息づかいを荒くしていくティオが、何かを我慢して息を詰めた。
その唇を開かせ、呼吸させる。
「息はいて。止めると危ない」
素直に、はぁ……、と息をはきだす。
「……ん、上手だ」
「ぼく……、……っ」
ティオがたまらなくなっていく速度にあわせて手の動きを早めると、声を我慢して力をこめるのがわかった。
「ん、我慢しないで」
「いや……っ」
その声に、イグノトルが動きを止める。
「ええ……っ……」
いきなりはぐらかされたティオが、身をよじった。
「君が嫌がると犯罪になる」
「そ、そんな……」
でも、心幼いティオに誘い文句を言わせるのも酷だから。
「君は頷くだけでいい。……していいね?」
かすかに、頭が縦にゆれた。
医師の理性を張りつけて。そうでなければ、ティオを幼い子供のままに甘えさせてやれない。
ひときわ高い声をあげて、ティオがぐったりとベッドに沈む。
恥ずかしがらないうちに拭いとり、額に小さなキスを落とした。
「いい子だ。養育期間中はここから先はしないから……嫌がって」
「……え?」
イグノトルがティオの腰の後ろへ指をのばす。
さすがにまだ、まずいだろうとは思いつつ指でなぞり、浅く埋める。
「……や、やだ……っ!」
慌てたようにティオの体が逃げた。
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