第3話

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何をするべきか 落ち着こう ワンルーム 6畳 狛江のアパートは ベッドが部屋を半分占領し その横にテレビ よくある個性のない配置 それが落ち着く とりあえず いつものように ベッドに座り テレビを眺める 見るではなく 眺める ベッドの横の小さなテーブル 冬はこたつになるそれに置いてある ノートパソコンを開いた 宅配便の依頼主を何度も検索する 住所は見当たらない 町名は近いものがあるが存在しない 近い住所を片っ端から検索をかける 次は名前 もちろん実在するが どれも見当違い 東京にはいない 1文字を変え 検索をかける また1文字を変え 検索をかける もうこのノートパソコンを開いて 検索を始めた時点で おそらく住所も名前も存在しないことは 予想していた ヒント かけら いや 一番は自分を落ち着かせる 最良の方法がこの行動なのだ しかも時間も幸いにすぎてくれる 何かメールでも届いていないか ありとあらゆるアカウントに届いていないか調べた もうパスワードも忘れているアドレスもある もちろん 届いていない 宣伝のメールばかりだ よくもまぁこんなに モノやサービスを売りたいもんだ 自分が生きていようがいまいが そこに届き続ける宣伝メールに ぞっとした さて 次だ なにがある またテレビを眺める いや見る 事件がないか ヤフーニュースにも速報がないのだから テレビの速報に出ている訳もないだろうが 見てみる 日曜の朝のいつもの番組 なにも変わらない 次の瞬間 スマホが震える
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