凛と桜の木

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  「…で、なんで二人も一緒にいるわけ?」 「いや~…平助と“謎の美女”が愛の逃避行してるのを新八が見かけたって言うからよぉ!」 「はぁっ!?あ、愛のって…っ!!」 「“それは見過ごせねえ”って左之が言い出して…お前ら追いかけたんだけど、見失っちまってさ。…どうすっかなぁってぶらぶらしてたら、白雪ちゃんに会ったんだよ。」 「…ああ…そう…。」 「ったく…平助もうぶなふりしてやるじゃねぇか!…で?例の美女とやらはどこにいんだ?」 「つか、どういう関係だよ?」 「…うぅ…この二人にだけは、見られたくなかった…。」 ニヤニヤと意味深に笑って詰め寄ってくる二人に、 深いため息をついて泣きそうな顔をする平助。 そんな彼らを、 凛と白雪はクスクスと笑いながら微笑ましく見つめていた。 「あ、そうだ…凛、そろそろ帰らないと。女将さんの雷が落ちちゃう。」 「あ…へぇ…。」 凛はチラリと平助を見る。 平助は凛の視線に気付くと、 優しく微笑んで彼女の頭を撫でた。 「お凛、あんまり一人で遠くに行っちゃダメだよ?…白雪さん、だいぶ心配してたから。」 …………。 …相変わらずの「子供」扱い。 さっきまで顔が赤くなったり、 緊張して狼狽えていたりしていたのに。 …なんだか今は、 「悲しい」よりも「悔しい」気持ちになる。 凛はムッと顔をしかめると、 つんとそっぽを向いて言った。 「平気やもん!子供扱いせぇへんで下さい。」 「…お凛…。」 苦笑を浮かべる平助をチラリと一瞥しながら、 (…今のうちだけなんやから) と、 凛は内心にやりと笑う。  
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