第1話

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眩いネオンが街を彩る繁華街。 綺麗に着飾る女と、派手目なスーツに身を包む男。 決して恋人同士ではない男と女が、腕を絡ませ、まるで恋人同士の様に道を歩く。 そんな疑似恋愛にも似たほんの一時を楽しむ男と女が行く先は、男が勤めるホストクラブ。 一組、また一組と吸い込まれる様に店に入って行く。 メディアでも取り上げられる事がある、ホストクラブが軒を列ねる繁華街を抜けると、また少し違った雰囲気の街並みが現れる。 男が男を求めやって来る街。 日本一のゲイタウン。 ハッテンバと呼ばれる公園があり、ゲイバー、ウリセンバー等が軒を列ねている。 そんな街の片隅に建つビルの5階に店を構える、一見さんお断りの高級ウリセンバー「BlackRose」。 いつ、誰が決めたのか定かではないが、この街にはこの街の仕来たりがあり、開店する際に大々的に宣伝は出来ない上に、ボーイの募集すらもおおっぴらには出来ないのだが、どこからともなく面接希望者はやってくる。 場所柄、なんとなく仕事内容は解ってやって来るのだが、手っ取り早く金を稼ぐ為だと、深く考えずに来る者も少なくない。 (こいつも後者か…) この日面接に来た田端淳(たばたあつし)を見て、この店のマネージャー、零也は軽く溜め息をついた。
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