第4話

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 養子が難しいとわかった今、主人に子供を抱かせるために、是が非でも私は産まなくてはならなくなりました。 タイミングを見計らって自然妊娠を待っていましたが、一向にその兆候はありません。 毎月、毎月生理が来るたびに、「不合格」という言葉が頭をよぎり、精神的につらい日々が続きました。 主人は結果について何も言いませんでした。 何も言えなかったのだと思います。 子供が欲しいと言えば、私を責めることになってしまうので、言わないことが主人の優しさだったのでしょう。 しかし、私は主人が妊娠の話題に触れないことで、かえって自分一人だけで頑張っている、という気になってしまいました。 冷たく突き放された感じがしたのです。 今考えれば、責められても辛いし、 仕方ないよ、 と慰められても「あんたにこのつらさがわかるか」と言ってしまいそうだし、 同情されても惨めなだけだし、 一緒に泣かれたら、それはそれでイライラしそうだし、 と結局主人がどんな対応をしても楽にはならなかったと思います。 仕事中は気丈に振る舞っても、一人になると涙がこぼれてくる日が続きました。 このときが一番辛かった時でした。
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