第4話

行けども行けども闇の中を走っている感じでした。

ゴールが見えないのです。

独身時代は仕事で嫌なことがあっても、自分の中でたった一人で消化してきました。

けれど夫婦になったら、当然のことなのですが、相手はこちらの思い通りには動かないのです。

仕事の上で赤の他人とぶつかっているのではありません。

仕事での対立ならば、最終的には、上司や会社が収益性などの面を考慮して裁定を下すでしょう。

組織の人間ですから従うしかありませんし、もしどうしても、というなら、それ以降極力接触を避けることもできるでしょう。

いわゆる「大人の対応」もできるように身につけているつもりです。

しかし、お互い夫婦という立場で、しかもどちらが正しいという問題でもありません。

一人で解決できない問題をはじめて突きつけられて、どうしようもなく苦しかったのです。

世の中には「不妊」が原因で離婚に至る夫婦もいるのでしょう。

私たちも、もし何らかの些細なきっかけがあったら離婚していたかもしれません。

私たちが乗り越えられたのは幸運でした。