アルパカ王子

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「あー……見ちゃったよな、あれ」 コクリと頷く僕に気まずそうな視線を向けているのは、同じクラスの有田(あるた)君。 うん、確かに同じクラスだと認知している。 アルパカがクラスメイトという記憶は無かったしな。 アルパカの姿から戻った有田君は、いつもの制服に黒縁メガネ。 アルパカの時はメガネしてなかったよね? 「いきなりあんなの見てビックリしたよな……って、あんまり驚いてる感じじゃないな」 「いや、驚いてるよ。うん、ビックリビックリ」 「してるようには見えない」 普段からあまり感情の起伏が無い僕は、驚いてるのすら解ってもらえないらしい。 別に家庭環境に問題があるとかじゃない、ただの個性だ。 「頼む! 今見た事は誰にも言わないで!」 両手をパンッと合わせ、有田君が深々と頭を下げる。 「今のって、アルパカ?」 「だから、俺が呪いを受けていてアルパカに変身しちゃう事だよ」 「あぁ……さっきのアルパカって有田君だったんだ」 アルパカと有田君が入れ替わったイリュージョンじゃなかったんだ。 うん、ビックリビックリ。 驚いてる僕に有田君は「余計な事言ったかも」と肩をガックリと落としていた。 .
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