アルパカ王子

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帰りは一人で本屋にでも寄ろうかと思っていたのに、必死な形相の有田君に「奢るから!」と学校から近いファーストフードのハンバーガーショップに連れて行かれた。 「葉風、何がいい? 何でも奢る」 有田君がハンバーガーショップのカウンター前でメニューを僕に見せつけてくる。 お腹は空いてるけど、もうすぐ晩ご飯だしな。 「じゃ、バニラシェイク」 「そんなんでいいのか? セットとか頼んでいいんだぞ?」 「お母さんが今日の晩ご飯はグラタンだって言ってたから」 僕の返答に有田君が首を傾げているが、何かおかしかっただろうか。 ここでお腹いっぱいになったらグラタンが食べられなくなるって意味なんだけど。 僕にバニラシェイク、有田君は自分の分にアイスコーヒーを頼んで、お盆に乗った二つの紙のカップを手に「こっち」と僕を誘導する。 店内は学校帰りなのか制服を着た人達がポツポツと席に着いていて。 店の奥、一番端の空いている席を見つけた有田君がテーブルの上にお盆を置いた。 「とりあえず座って」 バニラシェイクを奢ってもらう身だから素直に従う。 向かいの席には有田君が座り、「どうぞ」とバニラシェイクのカップを差し出してきた。 .
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