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「ウチの親父、俺の母親と結婚する前に二股掛けてたらしいんだ。母親が俺を妊娠して結婚する事になったんだけど、捨てられた方の彼女が呪いをかけたんだ」
「それがアルパカ?」
「呪いをかけるなら親父にしろよ! 何で俺なんだよ……!」
父親の不貞の呪いのとばっちりを受けた有田君は可哀想だと思うが、それより何でアルパカなのかが解らない。
そもそもそんな恐ろしい呪いをかけられるその彼女さんが凄いよな。
人一人をアルパカに変えられるなんて……只者じゃない。
「よしよし」と宥めるように俯く有田君の頭に手を伸ばして撫でると、有田君が「ごめん」と再び謝りながら顔を上げる。
「でも有田君、今まで学校でアルパカになった事無いよね?」
「この呪いには発動条件があるんだ。だから今まで気を付けるようにしてた」
「発動条件、聞いてもいい?」
肯定も否定もしないから、シェイクをストローで啜りながらしばらく待つ。
やがて何かを決心したように、有田君が真剣な表情で真っ直ぐに僕を見つめてきた。
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