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協力するとは言ったものの、僕に出来る事なんて殆ど無い。
そもそも成田さんとは同じクラスってだけで友達でも何でもないんだから。
それでも寂しそうなアルパカの哀愁漂う後ろ姿を想像してしまっては、何かしなければという衝動に駆られた。
「成田さん」
次の日の休み時間、教室で女友達と談笑していた成田さんに近付いて声を掛けると、振り向いた成田さんが驚いて「ぇえ!?」と声を上げる。
「な、何?」
「そんなに驚く所?」
「いや、葉風君から誰かに話し掛けるなんて珍しいから」
「そうか、驚かせてごめん」
僕が謝ると成田さんが「こちらこそ!」と慌てて首を横に振った。
僕は基本的にあんまり自分から話し掛ける事が無い。
だからって友達が居ない訳じゃないぞ。
友達の方からうるさいくらいに話し掛けてくるから、僕から話し掛ける必要が無かっただけだ。
でも用事がある時は僕だって話し掛けるし。
「成田さん、好きな動物って何?」
突然の僕の質問にも関わらず、成田さんが「ウサギ!」と即答してくれる。
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