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「ウサギ?」
「ウチでも飼ってるの。モフモフしてて、すっごく可愛いんだ」
「モフモフならアルパカも負けてないよ」
ここでアルパカの名前を出した事で、今まで自分の席に座っていた有田君がガタッと椅子から立ち上がる。
有田君も同じクラスなんだ、この会話が聞こえていて当然だな。
「アルパカはちょっと……」
「アルパカ、顔は怖いけどモフモフ感は最高だよ?」
やたらとアルパカを推す僕に、成田さんが気まずそうに眉を下げた。
アルパカ、意外と近くで見ると可愛いんだぞ?
有田君が変身したアルパカは可愛かった。
「葉風君! ちょっといいかなぁ!?」
ズンズンと僕と成田さんの元に歩いて来た有田君が、ガシッと僕の手を掴んで成田さんから遠ざける。
「成田さん、ごめんね! 葉風君に用事があるんだ!」
「え……用事って?」
惚ける僕を引き摺るように教室を出た有田君は、しばらく無言で。
人気のない廊下の端まで来るとクルリと振り返った。
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