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有田君もそんなに遠くには行っていなかったみたいで、もしやと校舎裏に行くとそこに有田君が一人佇んでいた。
校舎裏は僕が初めて有田君アルパカを見た場所、だからそこに居るんじゃないかと思ったんだ。
勘でしかなかったけど、当たってたらしい。
「有田君……ごめん」
有田君の後ろ姿に謝ると、有田君は「何で謝るんだ?」とゆっくり振り返る。
「成田さんにアルパカを好きになってもらおうと思ったんだ。そしたら有田君がアルパカでも受け入れてもらえるって……。なのに……」
なのに成田さんは、アルパカにトラウマがあった。
それじゃ有田君を受け入れるのは難しいだろう。
僕は、余計な事をしたんだろうか。
「それはもういいんだ」
胸が苦しくて俯いてしまった僕の元に、有田君が近付いてくる。
「葉風は悪くない。一生懸命アルパカのいい所を見つけて語ってくれてさ、寧ろ感謝してるんだ」
「アルパカは可愛いよ。有田君も可愛い。だから成田さんにもアルパカも有田君も好きになってもらいたかったんだ……」
目頭がツンと痛くなり、ジワリと目に涙が浮かぶ。
有田君に寂しいアルパカ人生を送らせたくない、有田君にも幸せになってほしい。
そう思ったのに、有田君失恋確定じゃないか。
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