アルパカ王子

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「だから、それはもういいんだって」 「良くない……」 「成田さんの事はホントに『ちょっといいな』って思っただけだし。それに……」 ゆっくりと掲げられた有田君の手が、僕の頭に触れる前にピタリと止まる。 「俺の為に一生懸命になってくれた葉風が……その……」 「ん? 僕が何?」 パッと顔を上げた事で僕の頭が有田君の手に触れてしまったらしい。 「あ……」と小さく声を上げた有田君が白い煙に包まれ、アルパカの姿になってしまった。 え、何で有田君がアルパカになっちゃってるの? だって呪いの発動条件は……。 「つまり、その……こういう事だよ」 モゴモゴと口を動かしているのはアルパカだが、ちゃんと有田君の声がする。 「こういう事?」 「最初は……葉風が何をやらかすか気になって見てただけだったんだ。成田さんに変な事言うんじゃないか、とか」 失礼だな、アルパカの呪いの事は誰にも言わないって約束したし、変な事をやらかしたりはしないよ。 有田君は僕を何だと思ってるんだ。 .
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