バレンタイン

21/21
2052人が本棚に入れています
本棚に追加
/190ページ
髪に顔を埋められて擽ったさから顔を上げると、浩輝の顔が近付いて来て口唇に柔らかい感触が触れる。 「っ!」 何が起こったのか瞬時に理解して、一気に顔が熱くなった。 「な、何して……」 「何って、キスした。圭太が好きだから」 「い、いや、それは解ってる……けど……」 恥ずかしさから顔が真っ赤になっているであろう僕を見て、浩輝が嬉しそうに微笑む。 「なぁ、圭太。来年も俺にバレンタインのチョコくれる?」 「もちろんだよ! 来年も再来年も……」 「俺だけに、だぞ?」 今年の分はキューピッドにもあげちゃったから、浩輝だけではなかったな。 まぁ、あれは人助けならぬキューピッド助けだ、仕方なかったんだよ。 「僕があげたいって思うのは浩輝だけだよ」 ハッキリとそう告げると、再び浩輝の顔が近付いて口付けられた。 あのキューピッドの言っていた事は本当だったんだ。 僕の赤い糸はちゃんと浩輝に繋がってた。 教えてくれてありがとう、キューピッド。 少子化問題解決の手助けにならないのは申し訳ないけど。 【終】
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!