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髪に顔を埋められて擽ったさから顔を上げると、浩輝の顔が近付いて来て口唇に柔らかい感触が触れる。
「っ!」
何が起こったのか瞬時に理解して、一気に顔が熱くなった。
「な、何して……」
「何って、キスした。圭太が好きだから」
「い、いや、それは解ってる……けど……」
恥ずかしさから顔が真っ赤になっているであろう僕を見て、浩輝が嬉しそうに微笑む。
「なぁ、圭太。来年も俺にバレンタインのチョコくれる?」
「もちろんだよ! 来年も再来年も……」
「俺だけに、だぞ?」
今年の分はキューピッドにもあげちゃったから、浩輝だけではなかったな。
まぁ、あれは人助けならぬキューピッド助けだ、仕方なかったんだよ。
「僕があげたいって思うのは浩輝だけだよ」
ハッキリとそう告げると、再び浩輝の顔が近付いて口付けられた。
あのキューピッドの言っていた事は本当だったんだ。
僕の赤い糸はちゃんと浩輝に繋がってた。
教えてくれてありがとう、キューピッド。
少子化問題解決の手助けにならないのは申し訳ないけど。
【終】
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