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1976年10月24日
その日ぼくは第1コーナー手前の、現在はスタンドになっている土手に寝そべっていた。
と言っても、天気は最悪。高原の、冷たい秋の雨が降り続き、雨粒が止めば濃い霧が立ち込める。そんな天候の中、下半身にビニール・シートを巻き、傘を差して、ジッと待っていた。
「1976年10月24日」
あの時、ぼくは高校一年生。
ここは、中学の頃から「グランドチャンピオン・シリーズ」観戦で通い慣れた「富士スピードウェイ」。
時間は刻々と過ぎて行く。でもぼくは…いや、ぼくたちは…全員が天候の回復を願いつつ、ひたすら待っていた。
なんと言っても今日は、あの「夢のF-1レース」が開催されるのだ。
とにかく今は、ただひたすら、黙々と待つしかなかった。
Mr.ニキ・ラウダ(フェラーリ312T2)
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