幻影

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********** 「はあ・・」 夢から覚めた彼女は大量の汗をかいていた。 ここ一ヶ月程、毎日同じ夢を見ている。 現実では生きているはずの英二が、夢の中では死んでいるのだ。 しかも、その夢はリアルで、実際に体験したのではないかと思ってしまうほど。 「違う・・。英二はちゃんと私の隣に居るわ」 彼女は自分に言い聞かせるようにいうと、隣で寝ている英二の顔を見て、ほっと息を漏らす。 これも習慣のようになっていた。 窓の外はまだ暗い。 彼女はゆっくりと目を瞑る。 夢で見た、霊安室のベッドで眠る英二の姿。 怖い。 率直に彼女はそう思った。 本当に英二が遠い所に行ってしまうような気がした。 考えてはいけないと頭では分かっていても、無理だった。 結局、寝られなくなった彼女はそのまま朝を迎えてしまった。
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