24人が本棚に入れています
本棚に追加
**********
「はあ・・」
夢から覚めた彼女は大量の汗をかいていた。
ここ一ヶ月程、毎日同じ夢を見ている。
現実では生きているはずの英二が、夢の中では死んでいるのだ。
しかも、その夢はリアルで、実際に体験したのではないかと思ってしまうほど。
「違う・・。英二はちゃんと私の隣に居るわ」
彼女は自分に言い聞かせるようにいうと、隣で寝ている英二の顔を見て、ほっと息を漏らす。
これも習慣のようになっていた。
窓の外はまだ暗い。
彼女はゆっくりと目を瞑る。
夢で見た、霊安室のベッドで眠る英二の姿。
怖い。
率直に彼女はそう思った。
本当に英二が遠い所に行ってしまうような気がした。
考えてはいけないと頭では分かっていても、無理だった。
結局、寝られなくなった彼女はそのまま朝を迎えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!