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朝食を食べ終わった彼女は、仏壇に飾られている写真を見ていた。
「本当に英二に似ているわ」
いつも彼女は写真を見て、この言葉を発する。
目尻の横にあるしわや笑うと細くなる目。
少し高い鼻に薄い唇。
彼女の愛しの人である英二に瓜二つだった。
「そうだ、聞いて。最近英二がね、全然私の手料理を食べてくれないの。
ここ一ヶ月間ずっとよ」
話しかけても、写真に写る英二に瓜二つの人は、ただ変わらぬ笑顔を見せるだけ。
「あなたに言っても仕方ないわよね」
彼女は写真から目を離すと、暫く窓の外から見える青空を見ていた。
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