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あれからジャージに着替えて学校に行った。だけどゆうりが心配で心配で。それはりょうも同じだったようで、いつも授業中に寝ていたりょうが、今日はただずっと外を眺めていた。
「ゆと…ゆと…」
「んぅ…」
「学校終わったぞ」
「あ、ごめん…」
いつから寝ていたんだろう。全然覚えてないや。
「具合悪いの?」
「んーん。平気」
「ならいいけど。帰ろ!」
そう、りょうは笑った。その笑顔に、いつもつられて笑ってしまう。偽りがなさそうで。
りょうも俺も、ゆうりの話はしなかった。いや、出来なかった。
「おい、りょう!」
「やっべ…」
後ろからした声に、りょうは顔を顰めた。なんだ、先生じゃん。
「りょう、職員室にくるって約束だったろ!また逃げようとしたな」
「へいへい行きますよ~。わりっ、多分遅くなるからさき帰ってて」
「あ、うん。また明日な!」
「おう!じゃーな!」
課題、終わってなかったのかな。なんて、どうでもいいことを考え歩き進めた。違うことを考えないと、ゆうりがどうしても頭の中に入ってきてしまうから。
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