第1話

13/25
前へ
/191ページ
次へ
あれからジャージに着替えて学校に行った。だけどゆうりが心配で心配で。それはりょうも同じだったようで、いつも授業中に寝ていたりょうが、今日はただずっと外を眺めていた。 「ゆと…ゆと…」 「んぅ…」 「学校終わったぞ」 「あ、ごめん…」 いつから寝ていたんだろう。全然覚えてないや。 「具合悪いの?」 「んーん。平気」 「ならいいけど。帰ろ!」 そう、りょうは笑った。その笑顔に、いつもつられて笑ってしまう。偽りがなさそうで。 りょうも俺も、ゆうりの話はしなかった。いや、出来なかった。 「おい、りょう!」 「やっべ…」 後ろからした声に、りょうは顔を顰めた。なんだ、先生じゃん。 「りょう、職員室にくるって約束だったろ!また逃げようとしたな」 「へいへい行きますよ~。わりっ、多分遅くなるからさき帰ってて」 「あ、うん。また明日な!」 「おう!じゃーな!」 課題、終わってなかったのかな。なんて、どうでもいいことを考え歩き進めた。違うことを考えないと、ゆうりがどうしても頭の中に入ってきてしまうから。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

316人が本棚に入れています
本棚に追加