第1話

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そして朝。 「あ…りょうは来ないんだっけ…」 「にーちゃんまた独り言!」 「うるせっ」 弟が言うに、いつにも増して、最近独り言がやばいらしい。多分、普段から俺に口出ししない弟がわざわざ言ってくるんだから、相当なんだと思う。 「いってきまーす」 パンを口に放り込んで牛乳で流せば、俺は足早に家を出た。 今日は、一人だ。 どうしてこんなにドキドキしてるんだろう。焦っているのか。一人で行くのが怖いのか。自分の感情がわからない。 無意識に足を進めたせいか、15分ほど早くゆうりの家に着いてしまった。 だけど、こういう時の15分ってすごく早い。 俺はいつも通りの時間にチャイムを鳴らした。
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