第8話

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「手の尽くしようがなかった…?人の命助けるのが医者じゃねぇのかよ!俺らに頭下げたらそれで終わりなのかよ!お前ら医者にとっちゃだいきは患者の一人かもしれない!だけど俺らからしたら、だいきを助けられるのはお前らしかいなかったんだよっ…お前らしかっ…」 涙が零れ落ちた。あの時助かっていたら。もう少し早く着いていたら。 「どうしてだいきを助けてくれなかったんだよぉっ…」 ゆうりにとってだいきは、なくてはならない存在だったのに。 「…っ…なんとか言えよっ…!」 「りょう」 強く強く握りしめていた拳を振ろうとした時、ゆとがそれを止めた。 「ゆうり、眠ったよ」 ふわりと微笑んだゆとは、胸ぐらをつかんでいた俺の手に触れ引っ張った。離れた俺の手から、男は力なくその場に崩れ落ちた。 「病室戻ろう?」 俺の涙を拭いぽんぽんと背中を撫でたゆとは男の前にしゃがんだ。 「今度ゆうりの前に現れたら…俺があなたを殴りますから…」 「ゆと…?」 「ふふっ、行こう?」 立ち上がったゆとは、俺の手を引いて病室に戻った。
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