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「…あっ…!」
ようやく見つけた。彼は屋上にいた。フェンス前に倒れている車椅子。角に建てられたライトに照らされた彼は、フェンスによじ登っていた。
「ゆうりっ!」
ゆうりに駆け寄って、フェンスを掴むゆうりの身体を後ろから引き剥がす。
「離してっ…!離してよぉっ…」
「やめて、やめてゆうりっ…」
力を込めると、フェンスから離れた俺らはコンクリートに叩きつけられた。
「いったぁ…」
「…だいのところいくのぉっ…」
離してと暴れるゆうりを、後ろからぎゅっと抱きしめた。
「やめて…ゆうり…」
ゆうりの背中に顔を埋める。小さな小さな背中に。
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