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ゆうりside
ゆとは子供のように泣きじゃくっていた。
「…行かないでっ…ゆうりぃ…」
ゆとに抱きしめられ、身体が暖かく包まれる。ゆとはだいに似ている。この僕を抱きしめる感覚も、その笑顔も。
それは辛かったが、嬉しかった。だいがそばにいてくれてるようで。今も、だいに抱きしめられてるみたいで、どんなに泣くまいと唇を噛み締めても、我慢出来ずに涙が出た。
「…ぼくは、ゆとを利用してしまうかもしれない…」
だいがいない孤独を、ゆとでただ、埋めてしまうかもしれない。
「…ゆうりがいてくれるなら…俺はそれでもいいよ…」
「…ほんとうに…?」
「…うん…本当に…」
結局僕は、誰かに甘え続けて生きていくんだろう。これからもずっと。
「…ゆ、と…」
僕はそっと、ゆとの背中に腕を回した。
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