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悲惨すぎた。
ボールを抱きしめて泣いている男の子と、だいきにすがりついて泣くゆうり。そして、血だらけで倒れているだいき。
俺らが着いた頃に、ちょうど救急車も着いたようで、慌ただしく大人がだいきの元へ駆け寄っていた。
わけもわからないまま、ゆうりと俺らは救急車に乗っていて、覚えているのは、泣きじゃくるゆうりの背中をただひたすらさすっていたことだった。
いつの間にかついて、いつの間にか俺らの前からだいきは消えて、いつの間にか、包帯で頭を巻かれ息をしないだいきが、俺らの前にいた。
二人で歩いていたら、ちょっと離れた道路にボールが転がってきて、違う方からは車が走ってきていて、そんなことを知らない子供が飛び出してきて。危ない、僕がそう思った時にはもう僕の隣にだいきはいなかった。そう、ゆうりは話していた。
ゆうりは、恋人が子供を助けたところも、そのせいで引かれてしまったところも、見ていたのか。
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