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片田舎の小さな町、これと言った見所もなく観光出来る所は皆無、それが僕の育った町。
でも、そんな田舎町で唯一、伝統的に続いている祭事がある。それだけがこの町が誇れるものなのかも知れない─────
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あの日、実家に所用があり何年か振りに懐かしい、道程を2時間以上掛け都心から仕事終わりに帰郷しようと、最寄り駅へ向かう電車に乗り換えた。すると
「うっ!?」
車両内に充満する臭い、確かに片田舎を走る電車の終電時間は早い。とは言え、この時間に酔っ払い…
と、僕は臭いの元を確かめる為か、無意識に目が車内を見回していた。
「▽☆※▽◯けへっへ…ひっ…ッ」
そこには何を言っているかさっぱり、分からない程に酔っ払った着物姿の一人の女性が床に座り込んでいた。
「ん?あれ、もしか…して?」
その女性は何か見覚えがある様な、少し違う様な…仕方がないので僕は女性に近付き、気持ち悪そうに俯いた女性の顔を覗き込む様に良く見てみた。
「あっ!?◯◯ちゃん?」
「ふぇっ?」
顔を上げた女性は、間違いなく僕の知る女の子だった。
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