─小さな少女─

3/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
彼女は中々、心を開いてくれなかったが、僕にはその気持ちが良く分かった。 何故なら、僕はしきたりを強く重んじ、先導している本家の親戚。分家の息子だからだ。生まれた時から、引き継いで行く事が決められている様なものだ。 彼女はそう言った血筋とは関係ないが、田舎暮らしに憧れた両親と共に越して来たが為に加入する羽目になったのだ。 お互いにやりたくもない事をやらされる羽目になった者同士。 打ち解けるまで時間は掛かったが小さいながら、僕の立場や状況を何となく感じ取り理解してくれた様だ。高校生の自分より、よっぽど大人。 そして、僕が大学に行くまでは共に神太鼓奏を続けていた。親や親戚、役員達からは大学卒業後、地元に戻り神太鼓奏を盛り立てて行く様にと念を押されていたが、僕は卒業後、都心で就職し、サラリーマンをしている。 何度も戻る様にと言われたが、そのまま一度も戻る事なく、10年が経っていた。今では縁を切ったも同然の状態。 しかし、僕の気持ちを理解し、都心での就職を唯一応援してくれた叔父さんが亡くなったと都会組の一人に聞き、帰らずにはいられなかったのだ────── ─────────────────
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!