飛竜、走る走る!

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キキッと少し耳障りな音を立てて、公園のど真ん中に停車した。 ……やっぱり誰もいない。 これならばくつろげると、汗を拭いながらも悠々と降り立った。そのまま水道へ。 誰も見ていない事をいい事に、頭から水を浴びて掻きむしる。 別に、見られたからといって怒られる行為でもないだろうけれど、オレが普段やり慣れていない行動なので、多少人の目が気になる。 ……見られてもきっとやっただろうけど。気分の問題だ。 バッと頭を振って軽く水滴を飛ばす。 タオルなんて上等な物を使わなくとも、天然のドライヤー兼乾燥機が勝手に乾かしてくれるだろう。 髪型も、特に気にしない。 そんな事をいちいち気にする中学男子がいたら、ぜひ一度お目にかかりたいものだ。 陰ながらバカにしてやる。  ミーンミンミン ミーンミンミン ……多少思考が荒れているのは、ここでもうるさいセミのせいだ。きっと。 サッパリしたと思っていたが、根っこがしつこいカビみたいに、まだまだリフレッシュが足りていないらしい。 現在進行形で不快指数が上がっているんだから、それも当然か。 愚痴を漏らす寸前で、水と一緒に言葉を飲み込む。 ゴクッと。
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