†開花†

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天高く、清らかに澄みきった蒼穹の天空に浮かぶ七つの階層。 創世の神によって創られ、神の子孫である神族と、神に仕える天族達が、神の代理である神族の長、聖主を崇め、御元に集う世界。 -聖界- 下層から数え、第7となる最上層を神族と神族の長、聖主の許可のある天族のみが立ち入り住める聖域とし、その真下に聖界を支える3柱、中央組織、神殿、元老院と呼ばれる3組織が集まる第6階層。 聖域を離れた神族を含む、天族達が階級によって分かれて住まう居住区でもある、第5階層から第3階層。 最下層の真上にある為に、瘴気が入り込み、最も治安が悪く、翼しか持たない下位の天族達に紛れ、創世の神に反意を持ち、聖主を含む聖界の組織に反抗する反乱組織や堕天者、堕天希望者達が隠れ潜む、スラム区である第2階層。 魔界と接する為に瘴気が満ち、魔界との境界に境域結界を張り巡らせ、魔族の侵入を防ぎ、禁域として一般の天族達の立ち入りを禁じている最下層、禁域。 この七つの階層から、聖界は成っていた。 その内の第6階層。 階層の中心には、第6階層に出入りする為の移動機関、中央塔が聳え立ち。 そこから、扇状に東西南北と区切られ、南が中央組織、東が元老院、西が神殿と各々の組織の領域に分かれ、北が3組織共有の施設が集う北の管理区となっている場。 その中にある、西の領域、神殿。 朝の冷たい清らかな空気の中で、荘厳な美しさと堅牢かつ厳かな雰囲気を併せ持つ本殿と内殿に、美しい花々が咲き誇る庭園。 更にその最奥にある、神殿組織に勤める高官や役職者達が、公務で泊まり込む為の宿泊施設、奥離宮。 その中で一際広く、神殿組織の中にありながら、敷地を区切られた専用の中庭と応接用の居間や側近控え室などが揃う、次期聖主ロアが聖司官に就任すると同時に生まれ育った聖域を出て、住居として居を構えている独立した建物、聖司官専用室があった。 ----- 早朝の静けさと清らかな朝日に満ちた寝室の天蓋幕に囲まれた寝台の中で、朝の気配を感じてロアが目覚めると、 「おはようございます」 寝台を囲む天蓋幕を上げ、寝台に横たわるロアへ、朝の目覚めの挨拶を告げるクロアの姿があった。 寝台を共にしなかった翌朝は、恋人としてではなく、側近としてロアの目覚めを出迎えるクロア。
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