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僕は緊張して、公平は楽しそうに、美紀はつまらなそうに…彼女の姿を探した。
閑散とした館内で、彼女の姿は直ぐに見つかる。窓際の席で静かに佇んでいた。
公平がニヤニヤしながら肘で僕の脇をつつく。他に目に付く人が居ないのと、僕が思わず足を止めたのだから気付くのも当然だった。
「おばさんじゃん…」
美紀がつまらなそうに呟いた。公平は美紀を睨む様にしたけれど、美紀は僕にも公平にも目を向けない。
「さてと…行きましょうかねぇ。純朴少年よ」
可笑しそうに僕の背中を軽く叩いて、公平がつかつかと彼女に向って歩き出した。
僕の足は少し震えていたけれど、此処までくれば後には引けなかった。
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