The beginning

22/33

642人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
僕は緊張して、公平は楽しそうに、美紀はつまらなそうに…彼女の姿を探した。 閑散とした館内で、彼女の姿は直ぐに見つかる。窓際の席で静かに佇んでいた。 公平がニヤニヤしながら肘で僕の脇をつつく。他に目に付く人が居ないのと、僕が思わず足を止めたのだから気付くのも当然だった。 「おばさんじゃん…」 美紀がつまらなそうに呟いた。公平は美紀を睨む様にしたけれど、美紀は僕にも公平にも目を向けない。 「さてと…行きましょうかねぇ。純朴少年よ」 可笑しそうに僕の背中を軽く叩いて、公平がつかつかと彼女に向って歩き出した。 僕の足は少し震えていたけれど、此処までくれば後には引けなかった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

642人が本棚に入れています
本棚に追加