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彼女は、一瞬戸惑った様子で僕を真っ直ぐに見つめていた。
僕は妙なナンパだと思われたくなくて、恥ずかしさを隠して目を逸らさずに見つめ返した。
僕の真剣な表情が彼女には可笑しかったのかも知れない。くっと笑いを堪えて彼女が告げた。
「えっと…とにかく座らない?二人とも背が高いから威圧されてる気分になるわ」
そんな言葉を言いながらも、愉快そうに彼女は笑っていた。
後ろで様子を伺っていた美紀にも手招きをする。
僕と公平は彼女の向いに、美紀は仕方なく彼女の横にちょこんと座った。
「美大生?」
「あっ、はい…二回生で、柴崎隆って言います」
彼女が、何かを思いだした風に頷いた。
「素敵な絵を描くけれど、人物が苦手な柴崎くんね?」
僕は公平と目を見合わせる。
「お姉さん、隆の事知ってるんですか?」
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