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オープンテラス席は充分な日陰になっていたけれど、暑い事には変わりない。
その中で平然と熱いカフェオレを口にする。
何故だか彼女の周りだけが別の空間であるように思えた。
口を開かない僕に、じれた公平が代わりに彼女に質問をはじめた。
テーブルの足もとでは、俺に続けとばかりにつま先で僕の靴を蹴っている。
「えっと…先輩は、今何してる人なんですか?」
「先輩はやめてね、公平くん。進藤薫って名前があるもの」
「進藤薫…さん?」
そう聞き返したのは、僕でも公平でもなかった。美紀は身体ごと彼女の方に向き合っていた。
「あの…小説のカヴァーとか描かれてますか?」
「あら、嬉しいわ。ご存知なの?」
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