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大学の先輩で絵を描き、それを仕事にしている。
先生の所を訪ねた事を考えれば、彼女が今はこの辺りに住んでいない事は間違いない。
きっと、何かしらの用事があって母校を訪ねただけなのだろう。
それではモデルをお願いするわけにはいかない。
がっかりしている僕の様子を察したのだろうか、彼女が僕を見て言った。
「少し気分転換したくてね、夏の間はこっちに居るつもりなの」
「そうなんですね!嬉しい!」
僕より先に口を開いたのはやっぱり美紀だった。
「おいおい…隆がモデルにって話で声掛けたのに、美紀ちゃんが喜んでどうすんだよ」
そうだ…僕は彼女が描きたい。
「あの…それで、描かせてもらえますか?」
彼女は少し考え込んだ風にしてから小さく頷いた。
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