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控室へ向かう公平の後ろを、ゆっくりと歩く。美紀の姿を見るのは久しぶりだった。
「隆くん…ありがとう。来てくれたんだね」
純白のウェディングドレスが、窓から差し込む日差しにきらきらと映えていた。
「公平と美紀の式に来ない筈ないだろ?」
何故だか公平は、扉を背に窓の外を見つめている。
「でも…私は、隆くんに酷い事しちゃったんだよ」
潤んだ目で、美紀が僕にそう告げる。僕にはその言葉の意味がわからなかった。
ただ泣きそうな美紀の顔を見ていられなくて声を掛ける。
「せっかくの化粧が台無しになるぞ。おい公平、なんとかしろよ」
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