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そう言って公平に視線を向けるけれど、公平は曖昧な表情で僕に告げた。
「なあ隆…もう少しだけ美紀の話を聞いてやってくれないか?実はさ、式が始まるまで随分時間があるんだ」
確かに…此処に来るまで不自然な程、誰とも顔を合わせなかった。
美紀も真っ直ぐに僕を見つめている。
「どうしたんだよ…二人とも」
美紀は公平をちらりと見て、首の後ろに手を回した。
銀色のチェーンが細い首から外れるのが見えた。
「隆くん…これ…」
それは見憶えのあるネックレスで、美紀の手元にある筈がないものなのだ。
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