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紫条家本館 午前1時37分
部屋の隅で、涼は拓から預かったHK G36Cを抱きながら静かに座っている。隣りではまるで涼を守るように宮村が黙って座っていた。
全体的に紫条家組は静かだ。
拓が出てしばらく…… 三上が撃たれた傷の痛みで少し騒いだが、今は落ち着き眠っている。田村と河野も椅子にもたれ仮眠を取っていた。二人とも職業的にすぐに仮眠、覚醒に入れるから……ということだ。篠原、三浦は起きているが、彼らもほとんど動かず沈黙している。
「拓さんが出かけてからもうじき一時間……ですよね?」
涼は隣りの宮村にそっと小声で呟いた。宮村は腕時計で時間を確認する。
「サクラちゃんとの待ち合わせの時間ももう少しね」
「あ……そういえば」
涼が頷いたその時だ。激しい銃声が聞こえ、さらに大きな爆発音が三連続で起きた。全員顔を上げた。田村と河野も一瞬にして眼を覚ました。
「何!? 今のは爆発よね? 高遠さん」
「……爆弾…… 多分、爆弾の音です」
「なにそれ!?」
爆発後、銃声もまだ散発的に続いている。
「捜査官かしら?」
宮村は窓を開けた。夜の冷たい空気が入り込む。
銃声はまだ続いている。
「違う。これは……」
涼は耳を澄ませ、目を閉じ集中し銃声を聞く。音は聞き覚えのある軽い爆発音だ。
……これは……サクラちゃんが使っていたリボルバーの音……?
ということはサクラだろうか? サクラはもうじきこの本館に現れるはずだが、銃声は間違いなく住宅地のほうから聞こえる。少なくとも拓の45口径の銃声ではない。
さらに続けて銃声が鳴り響いた。
「今のは近いんじゃない?」
宮村は東の森のほうを見つめ、表情を引き締める。
「これも……銃声が違う……」
涼も東の方を見る。音は森に反響しているようだ。ということはこの銃声は東館の方からではないのか?
篠原も窓の傍にやってきた。銃声はまだ鳴っている。
「東館のほうからですね。しかし今東館に誰かいるんでしょうか」
篠原は振り向きながら皆に問いかけた。その問いに誰も答えられない。
拓ではない。拓は西のほうから住宅地に向かったし、第一45口径の銃声ではない。銃声は、距離は近いが音はけして大きくない。それに規則正しくもない。
「乱射……してるみたいね」と河野が呟く。
「<死神>かしら?」
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