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「かも…… もう0時まわっちゃったもんね? <死神>が徘徊しはじめたとしてもおかしくないけど、だとしたら問題は<誰>ってことじゃない? 誰と戦ってるの?」
宮村は体を乗り出し東館のほうを見つめた。だがその時、全く別の方角から物音が聞こえた。宮村は思わず窓から離れ小さく叫ぶ。
「西から誰か来る!」
「!?」
全員に緊張が走った。三浦と篠原が、側に置いてあったウインチェスターを取ると、窓に走った。
足音は、森の中をまっすぐ本館に向かって進んできている。
「捜査官が戻ってきたのかな」
ウインチェスターを構える篠原と三浦。だが、数秒後森の中から現れたシルエットは拓ではなく、寄り添って歩く二人のシルエットだった。
そのシルエットを確認した篠原と三浦は銃を下ろした。
「生きていたのか」思わず呟く三浦。
篠原は黙って全員を見渡し「困りましたね」と無感情に呟いた。
現れたのは、村田と樺山の二人だった。
二人は周囲を警戒しながら、真っ直ぐ本館に向かって向かってきていた。
「なんだこりゃ。本当に地下迷宮かよ」
片山は額の汗を拭いながら嘆息した。
サクラと片山は、住宅地内の茂みの中に隠された地下の入口から地下施設内に逃げ込んだ。サクラは閉じられたハッチの近くで耳をあて外の様子を聞きながら二丁のリボルバーの弾を交換していた。そして弾を込め終わると、一丁……サクラの愛用のS&W M13は四次元ポケットに戻しコルト・ポジティブはズボンの中に突っ込み片山の方に戻ってきた。
「狂人鬼どもは追っ払えたみたい。よし、この隙に移動するぞ片山さん」
「お嬢ちゃん、ここは何だ?」
予想以上に住宅地に狂人鬼が徘徊していたので、サクラは普通に紫条家に戻る案を捨て、サクラが住宅地に出るのに使用した地下施設を使うことにした。
片山は驚きの表情で広がる通路を見た。電気が通り、コンクリートで舗装されている。こんなところは初めてだ。
「この紫ノ上島事件の秘密の一つ、<謎の地下施設>よ」
「やはりあったのか」
片山も薄々その存在を感じていた<謎の地下施設>の存在。だがその規模は明らかに片山の想像を超えたものだった。片山の想像はせいぜい洋館に秘密の隠し部屋や倉庫があるだろう……その程度だったが、これはそんな次元ではない。
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