第1章 アキラ視点 「Megami Bicycle」より

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人の頭の隙間から、店の軒先に貼ってあるポスターが見える。 ……バスケットボールの絵だ。 「バスケのボールが描いてあるよ?」 「でもねーよく見えないんだよ」 背伸びをしてみるけど何の貼り紙かわからない。 が、気になる。 リコちゃんはバスケ部なのだ。 男女合同の部活で、女子ながらキャプテンをつとめるほどの腕前だ。 そんな縁もあり、なぜだかとても気になった。 俺は人見知りなんてしない性格。 つい、近くにいた同世代の男子に声をかけた。 身長は俺と同じぐらいの170センチそこそこ。 紺のブルゾンを着た普通のヤツだけど、人がよさそうだったので安心して話しかけた。 「すいません、なんで人が集まってるか知ってますか?」 「え?あ、えと。なんか、肉が……。貰えるみたいで……」 「安藤。おまえ、その説明全然わからないから。」 !! 安心して話しかけたはずだったのに、さらに隣にいる金髪の男と二人組だったみたいだ。 身長でかっ!!しかも、イケメンと来た。 こうも整った顔を見ると、急にガキくさい自分の容姿のことを思い出す。 普段は気にしてないけど、軽いコンプレックスだったりする。 が、彼なら人の頭の向こうまでよく見渡せるだろう。
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