プロローグ

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       * * *  朝の弱々しい日差しが降り注ぐ中、入学式をバックレてきた二人は自宅を目指して歩いていた。  百五十五センチ程度の春と百八十センチある真が並んでいると、身長差がありすぎて遠目に見ると親子が歩いているように見える。  ちなみに他の学生はまだ入学式の最中ということもあり、道行く人々で学校の制服を着ている者は居ない。  美しく咲き乱れる桜並木の道を五分ほど歩くと、程なくして二人の住むアパートが見えてきた。  ちなみに二人は高校入学を期に一緒に部屋を借りたため、部屋には誰も居ない。  二階にある部屋まで階段で上り、足早に自室へ向かう。  部屋の前に着いた真は鍵を開け、二人は室内に入った。  室内を見回せば必要最低限のものしか置いていないため、この年頃の少年の部屋にしては整っている。  春は灰皿の置いてある低いガラス製のテーブルの前に座り、煙草に火を点けた。
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