プロローグ

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無言で下を向きながら歩く。いつものように真っ白な線と、真っ暗なコンクリートの見事なコントラストを楽しみながら曲を聴く。交差点も中盤に差し掛かっただろうか?僕はふと目線をあげ、車が来てないか確認をした。右。左。そして右。車は来てはいない。身の安全を確保しつつ、何もない世界から自分だけ抜け出すと言うスリルがたまらなく好きだった。まぁ、何度か車に轢かれかけた事はあるが、その度に運転手に怒鳴られ、挙句の果てに先生に怒られる。だが、このヘッドホンはやめられなかった。一種の中毒みたいな物だ。 「・・!!・・・!!・・!!」 黄色の旗を振って、前を歩いていた叔母さんが俺に対して何か怒鳴っていた。多分ヘッドホンのことだろう。そんな事言われたくらいで僕はこのヘッドホンをやめないぞ!と、言う気持ちで、ヘッドホンを外し、言い返す。 「あんたに何言われようが僕はこのヘッドホンはやめない!あんたに指図は受けない!」 しかし、叔母さんが言っていた言葉は僕が想像した言葉とはまったく違うものだった
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