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「君!早く逃げて!」
最初はこの叔母さんが何を言っているのかわからなかった。車が来たのかと思い、周囲を見渡す。何もない。あるのは道と建物、そしてそこいらに飛び散っている赤い液体。
「車じゃない!早くこっちに!」
叔母さんが身を乗り出して俺をこちら側に連れて行こうとする。はっきり言って不愉快だ。せっかく自分の世界に入っていたのに。
「なんだよ!離せよ!離せったら!」
腕をぶんぶん振って叔母さんが掴んでる腕を引き離す。しかし、僕の腕にはまだ握られた感覚がある。しかし、その腕には力を感じない。疑問を持った僕は、直ぐに自分の腕をみた。
「えっ?……う、うわぁぁぁ!!」
思わず尻餅をつく。だって僕が見たのは、僕の腕を握っている叔母さんの腕だったからだ。勿論それだけでは驚かない人もいるだろう。しかし、この腕は肘から下は無い状態だった。何が起こったか理解できず、ただ呆然と地べたに座り込む俺に、全ての元凶が襲いかかってきた
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