第1話

第一夜

　こんな夢を見た。
　腕組みをして椅子に座り込むと、対面に座る彼女が、距離おきたいです、と言う。ここにきた時点でそんな言葉を聞くだろうことは分かっていたけれど、なんでこんなこと言われるのか、分からなかった。
　長い髪を何も飾らず流し、普段あまりみない眼鏡をかけていた。ちょっと染めた髪色は、けれど真っ黒のフレームとあまり変わらないように見える。対照的に着ているセーターは白く、のぞいている首筋が、異なる白さが、脈動していた。やっぱりかわいいなって思う。かわいいから好きと言ったつもりはなかったけど、かわいいし好きなんだ。