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その場にしゃがみ込んで担いでいたリュックを降ろし、手前のポケットからノートを取り出せば、すかさず取られて。
「預かっておくから早く戻って来いよな!」
そう髪をかき混ぜられた。
「あぁ。上総も勉強頑張れよ」
「一言多いんだよ、黎は!」
膨れっ面でノートを握り締める上総に、手をグーにして差し出せば、上総もグーでタッチしてくる。
「じゃ、行ってくる」
再びリュックを担いで立ち上がれば、クラッとしてふらつき、上総に支えられる。
「大丈夫か?歩けるか?」
心配そうに俺の顔を覗きながら尋ねる上総にドキッとしながら、ありがと、と言って体制を立て直し。
3人に手を振り、部屋の入口へ。
「お待たせしました」
勝呂先生に声を掛ければ、もう良いのか?と聞かれ。
頷けば、玄関にタクシーを呼んであるから病院に行くぞ、と俺のリュックを取り上げて俺を支えながら歩き出す。
上総と仲直り出来て良かった。
そんな事を思いながら部屋を出て廊下を進むと、クラスメイト達が部屋から顔を覗かせて、早く元気になれよ、と声を掛けてくれた。
「皆、お前の事を心配して見送りしたいって言うから、部屋から出ないのを条件に許可したんだ」
うわ、皆それで態々顔だけ出してるのか!?
皆に、ありがとう、と返して振り向いてみれば、上総達もドアから顔だけ出して見送ってくれていた。
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