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「従姉?姉?……瑞希姉さん……?」
なんとなく知ってる人かな、とは思ったけど、従姉だの姉だのと言われても思い出せない。
と。
「無理に思い出そうとしなくて良いわ」
瑞希姉さんさんはベッドの横の椅子に座ると、俺の頭を撫で回す様に触り、ぶつけた訳では無さそうね、と俺の顔を見る。
「どうしてこうなったかは取り敢えず後回しにして、まずは黎、貴女の事について話すわね」
少し悲し気な顔で瑞希姉さんが俺の手を取る。
「貴女はね、4年前に両親と一緒に交通事故に遭って記憶を一度失ってるの。だから記憶喪失は二度目、ね?」
「事故……?」
「そう。事故の怪我と、一緒に居た両親を亡くして1人生き残ったショックで記憶を失ったの」
「え……」
「貴女は、私の父の妹の娘で、私の父は貴女の学校の理事長よ。そして今は貴女の戸籍上の父親でもある」
「へ?」
混乱する俺に、紙とペンを取り出して相関図を描いてくれる瑞希姉さん。
「で、6年生だった貴女は家に引き取られて、父が理事長をしている、今居る学校の姉妹校で全寮制の女子校の中等部を受験して、難関校なのに見事に合格して入学したの。だけど、その後に記憶が戻ってみたら、貴女、男の子として育った事がわかってね」
「え?」
「男の子っぽく振る舞う子だな、とは思ってたんだけど、貴女のお母さん、駆け落ち結婚だったから、貴女と会ったのは事故の後が初めてで、貴女の事を何も知らなくてねぇ」
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