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すると男達の1人が隠れていた俺を見付けた。
「こんな所にもう1人居るぞ!」
げっ、不味いっ!
俺は向かってきた男に手元の石を投げ、足留めをして立ち上がって上総達の方に走る。
が、また目眩で身体に力が入らない。
追い掛けてきた男に腕を掴まれそうになり、焦る。
と、間に割り込んだ上総が箒の先を男の顔に突き付けた。
ぶつかる寸前で止まった男と対峙する上総。
その隙に拓実が俺を引っ張って背後に隠してくれた。
けど。
上総、俺と同じで帰宅部なのにっ。
心配していると、上総はチラリと俺を見て微笑む。
いや、そんな余裕かましてたら危ないって!
対峙している男がナイフを取り出し、上総に斬り掛かるのを見て叫びそうになる。
が、上総は危なげなく箒で往なしていきナイフを弾くと、男の鳩尾に箒の柄で突いて気絶させた。
強い!
と、そこに警察官が数名駆け付けて来て、男達を捕らえていく。
それを見てホッとして、力が抜ける。
へなへなと座り込むと、上総が慌ててやって来た。
「大丈夫か、黎!」
俺を背後に庇ってくれた拓実と透も、振り返るとしゃがみ込んで、大丈夫か?と声を掛けてくる。
「ん、有り難う」
ほぉ、と息を吐いてから言えば、2人は。
「なんかいきなりデンジャラスな体験しちゃったなー」
「事情を聞いた時は驚いたけど、黎が無事で良かったよ」
なんて笑っていた。
うぅ、ゴメン。
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