デート

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すると透がポツリと呟いた。 「やっぱりこうでなくちゃ調子が出ないよなぁ。だけど、黎はもう転校しちゃうんだろ?流石に女の子が男だらけの場所で過ごすのは危ないもんな。淋しいよ」 あー、やっぱり女だと言う事は知られてしまったのか。 そうか、なら学校は転校が決定なんだな。 淋しくなって顔を歪めれば。 「記憶がちゃんと戻っても、俺達の事を覚えててくれよ?友達なんだからさ」 「そうそう。何処に居ても、友達なのは変わらないからな!困った事があれば頼れよ!」 透の言葉に拓実も頷く。 騙していたのに、友達だと、頼って良いと言ってくれる2人に、有り難う、と言う。 思わず涙ぐんでしまったら気付かれて、馬鹿だなぁと笑われた。 もし前の記憶が戻って透や拓実の事を忘れてしまうのなら、記憶は戻らなくて良いや、と思うくらい嬉しかった。 「本当はさ」 透がニヤリと笑いながら上総を指す。 「こいつ黎をデートに連れ出すつもりだったんだぜ」 「へ?」 上総を見れば、頬をポリポリ掻いて頷いている。 「折角両想いなんだからって、俺達はどうすんだよって話だよな?酷くね?」 拓実が頬を膨らませながら上総を小突く。 「だから上総が黎を連れ出せたら無理矢理合流してやるって、透と話してたんだよ。俺達も黎とデートしたいもんな」 続けられた拓実の言葉に今度は上総は膨れた。 「邪魔すんなよ」
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