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ええっ!?駆け落ち!?
「えーと、何から突っ込んで良いかわからないんですけど?」
戸惑う俺に、手をポンポン軽く叩いて宥める瑞希姉さん。
「まあ、黙って聞きなさい」
「あ、はい」
怒られた訳では無いのに、なんとなく姿勢を正せば、クスリと笑われる。
「なんでも貴女のお父さんの実家は代々続く由緒ある家とかで、女の子は生まれて直ぐ親戚の男と縁談が決まるんですって。だから、そうさせない為に男の子として育てた、って事らしいわ。家を捨てて縁を切ったのに関わってくるから、って」
うえぇ?縁談ー?
「あ、今は父が知り合いの弁護士に頼んで二度と関わらない様に手続きを取ったから心配要らないわよ?旧家だから裁判沙汰は避けたいだろうし」
ええっ?裁判沙汰ー?
「で、男の子として育った黎には女子校はハードルが高くてね。段々元気を無くして精神的に不安定になってしまったの。事故の後遺症で、日常生活は問題無くても運動すると身体が思う様に動かないのも辛かったのね。卒業間近だったのに引き籠る様になっちゃって」
え。
「中等部を卒業は出来たけど、高等部ではやっていけないだろう、って事で、急遽特別に姉妹校の今の男子校に転入する事にしたの。そこならそのままの黎で居られるんじゃ無いかって事で。体育は診断書を出して禁止にして、身体が弱いからって周りがじゃれつかない様にして」
「……それが俺が男子校に居た理由?」
「そうよ。で、周りは狼の群れな訳だから、黎が女の子って言うのは隠してたのよ」
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