69人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも何で男子校?共学とかは無理だったのかな?」
「父の学校に共学は無いのよ。事情が事情だから、貴女を目の届かない学校に預けたく無かったのね。極端な事になっちゃったけど、黎は楽しそうにのびのびやってる、って嬉しそうだったんだけど」
居心地が良かったみたいなのにね、と苦笑いの瑞希姉さん。
「楽しそう……なら何で記憶が無くなったんだろ」
「そうねぇ。何か精神的にショックな事が有ったのかしらね?一緒に行動してたお友達に安田先生が聞いてくれるそうだけど」
あー、上総達が何か知ってるのかな?
「それにしても駅で突然記憶が無くなったなんて……何が有ったのかしら?」
記憶が無くなる程のショックって、と悩む瑞希姉さんに聞いてみる。
「えっと、事故の影響が今頃出てくるって事は無いのかな?」
「ああ、当時も検査は嫌って言う程したのよ。それで記憶喪失は精神的なものって確定されて。だからそれは無いと思うわ。でも一応明日調べてみるけど」
「そうかー」
精神的、ねぇ?
「取り敢えずは此処で検査入院ね。心労で体調も悪いでしょ?」
フラフラだったんでしょ?眠ってしまいなさい、と瑞希姉さんに額に手を当てられる。
冷たい手が何故か懐かしい感じがしてホッとする。
「ん、ありがと」
目を閉じれば直ぐに意識が沈んだ。
最初のコメントを投稿しよう!