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トルシエール・ジャパンの誕生である。
トルシエール監督は、髪が茶色がかっていて、肌が白い、メガネをかけた理論家の、フ
ランス人である。
その頃、倉木は、再びあのピッチに立つことを目標にして、戦いの場である横浜に戻っ
ていた。
日本はまだ、W杯の余韻に浸っている頃です。
サッカー日本代表を見ると、ドキドキ、ワクワクして、夢を見ているようである。
これが俗に言う、W杯症候群だ。
しかしそれが、あまりJリーグには波及しなかった。
“代表と、Jリーグは違う!”
目立つ空席・バラバラな応援・緊張感がない空気。
倉木はそのギャップで、プレーしている。
倉木はこう解釈した。
倉木「にわかファンが、勝手に入ってきて、にわかファンが出て行っただけの話。本当の
ファンだけが残って、にわかファンが去っていくだけのこと。俺は、本物のサポーターだ
けのために、試合がしたい!」
横浜ウイングスの倉木飛馬ができることは、サッカー選手として一生懸命にプレーをし
て、気持ちを伝えること。選手としてできることは、ただそれだけです。
W杯期間に中断してから、再開したJリーグ。
試合は、横浜ウイングス対、柏ヘリオス。
ウイングスの監督であるガッツァ監督は、ブラジル代表の準優勝に貢献したザンパイオ
と、日本代表帰りの、倉木と、山田と、楢浦に喝を入れた。
ガッツァ「わしも命懸けで監督をしている。お前らもこの試合も全力で戦え!」
柏ヘリオスの要注意人物は、ディフェンダーながら韓国人の、ボン・ミョンボ。
アジア最高のリベロと呼ばれ、フランスW杯も韓国代表のキャプテンとしてプレーした、
アジアのスターディフェンダーである。
彼の攻撃参加が、要注意だ。
倉木はこの試合も、3トップの一員でプレーした。
倉木の動き自体は、良かった。
しかし柏に2点を奪われて、0対2で完敗する。
試合後、柏のボン・ミョンボが倉木のもとにやってきて、言いました。
ボン「4年後も、この試合みたいに、僕らの方が勝つよ!」
このとき倉木は、日本人としてのナショナリズムを掻き立てられて、ライバル心が高ま
ったのでした。
そんな時である。
ウイングスのスタッフが、深刻な顔をして、駆けつけて伝えました。
スタッフ「飛馬!大変なことになった。ウイングスの親会社が、撤退することになった。
ウイングスがなくなるかもしれない!?」
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