第1話-2

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手の枠に入っているタイプの選手だ。 その絶対的なエースを直前になって外したことで、それが精神的にチームの動揺につな がった。 まず、日本代表は、中畑を中心にしてチームを作った。 だから日本のエースは、中畑に合わせて、錠になった。 その次に、90分間走れるスタミナを持っている、中川を選んだ。 その次に、一番決定力があるロピスが選ばれた。 そして最後に選ばれたのが、知ではなくて、野人の丘野だった。 なぜ知が、丘野を越えられなかったのか? それはスピードだ。 もはや現代サッカーは、『どれだけ速いスピードで、長く走れるか』になっていた。 岡畑監督は、知が丘野のスピードで敵わなかったから、選ばなかった。 丘野が一番決定力がないのにもかかわらず、丘野が四番手だった。 それにイランとのアジア第三代表決定戦で、Vゴールを決めたのが丘野です。 監督というのは、そういう自分の期待に応えてくれた縁起が良い選手を、持っておきた がるのです。 FWはドングリの背比べだったからこそ、知という精神的な支柱の存在があればよかっ たと思う。 知は気持ちで勝負することができるから、苦しい時こそ必要だったのではないか? あと、知が代表から外れた原因の一つが、天才児の大野が、戦力として計算できたこと が大きい。 アルゼンチンの記者に聞いたのだが、彼らはこう言ったのだ。 「なぜ日本代表の中で、大野伸二が一番うまいのに、日本人は大野を使わないのか?」 大野が使えるからこそ、知が外れた。 だから大野は、知の象徴である背番号の11番を着て、W杯のピッチに立った。 今、日本では、中畑があたかも日本で一番うまい選手と評されているが、それは洗脳に 近い。 日本のサッカー評論家は、本音を言わずに、建前の発言しかしないからだ。 例えば、日本の英雄である中畑を批判してしまうと、その評論家の好感度が下がってし まう。 すると評論家としての人気が下がってしまう。 すると視聴率を気にするテレビ局からの仕事が減ってしまうのだ。 評論家も、商売としてやっているのだ。 だから日本の評論家は、中畑を批判することができない。 だから日本代表の現状や、課題など、厳しい発言が望まれるべき状況で、日本国民から 嫌われるような、本音を言うことができずに、『絶海勝てる!』とか、『日本を信じまし ょう!』などと、テレビ的な発言をしていた。
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